日本スキー学会第35回大会 韓国学会大会報告

日本スキー学会第35回大会 韓国学会大会報告

メインテーマ:日本・韓国のスキー学術交流のはじまり

2025年3月7日(金)〜10日(月)の4日間にわたり、日本スキー学会第35回大会が、初めて韓国の龍平リゾート・ラマダホテル&スイーツ平昌で開催されました。本大会には25名が参加し、そのうち5名は韓国の研究者でした。本大会を通じて、日本と韓国のスキー研究者が集い、知見を共有するとともに、新たな学術交流の礎を築くことができました。

プレセミナー

初日のプレセミナーでは、キム・ヨンウク氏(Kim Yong Wook, Hanyang University, HCI, Sport Science Adjunct Professor)が「韓国、ニュージーランド、日本のスキー場比較」について発表しました。スキー場やリゾートの数、地理的な特性、リフトチケットの価格など、多角的な視点から考察が行われました。特に印象的だったのは、キム氏自身がこれらのスキー場を訪問し、年間500kmの滑走を目標にしていることでした。

 

 

基調講演

基調講演では、ソン・ハン氏(Son Hwan, 中央大学校 教授)が「日帝強占期朝鮮におけるスキー普及に関する研究」をテーマに講演を行いました。この講演では、スキーの導入、スキー団体の設立、スキー場の建設に焦点を当てた考察がなされました。特に、長野県飯山中学校(現在の飯山北高校)から朝鮮の元山中学校に転任した体操教師・中村丘三氏が、オーストリア式スキーを生徒に指導したことが朝鮮のスキーの始まりとされる点が紹介され、日本ではあまり知られていないこの事実に驚かされました。

シンポジウム

シンポジウムでは、「韓国におけるスノースポーツの現状・研究動向」をテーマに、多角的な議論が行われました。

  • 駒沢女子大学のジャン・キョンテ教授:「韓国のスキー場の過去と現在」
  • ジャンフン高等学校 校長 パク・ヨンナム教授:「韓国スキー100年の挑戦と努力」
  • 韓国整形外科クリニック ウン・スンピョ医師:「スキー医学の歴史」

これらの発表を通じて、韓国のスキー事情の変遷や、現在の課題、そして医科学的な視点からの考察など、多岐にわたる知見が得られました。

ワークショップ

ワークショップでは、韓国のスキー環境やオリンピック施設を実際に訪問し、現状を学ぶ機会となりました。

  • 龍平リゾート(回転・大回転)
  • 旌善アルペンセンター(滑降競技)
  • アルペンシアリゾート(ノルディック競技、歴史博物館)
  • 平昌オリンピック開会式場・オリンピックミュージアム

これらの施設を巡ることで、韓国におけるスキーリゾートの発展や、国際競技場としての整備状況を直接確認する貴重な機会となりました。

情報交換会

情報交換会では、参加者が一堂に会し、韓国料理を楽しみながらパネリストと交流を深めました。学術的な議論だけでなく、より親密な意見交換ができたことも、本大会の大きな成果の一つです。

 

総括

本大会は、日本スキー学会として初めての海外開催となり、日韓スキー学術交流の新たな一歩を踏み出す記念すべき機会となりまし

た。今回の成果を基に、今後も韓国との学術交流を継続し、日本スキー学会の国際的な発展を推進していきたいと考えています。

最後に、本大会にご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。

カムサハムニダ。

日本スキー学会会長 山根真紀